この世界には、電化製品という便利なモノがある。
2011年の日本という世界において、それはなくてはならないものである。

カオリ宅。
マ・クベは、ある家電の前に立っていた。

取手のついた黒い部分と、何やらボタンのある面。



このフォルムに、マ・クベは見覚えがあったのだった。

「これは……確か部下と繋がる……」

これが使えれば、助けが呼べるかもしれないと思った彼は、唐突にボタンを押し、叫び始めた。



「ウラガン!ウラガン!」

恥や外聞など捨てて、マ・クベは叫ぶ。ただ元の世界に帰りたいから。
目の前の家電はオレンジに光り、唸り声を発している。



「何してんだ、マ・クベ?」

絶叫するマ・クベに、この家の主であるカオリが話しかけてきた。

「何とはなんだ、私はウラガンを呼び出しているのだよ」

「ウラガン、あぁ、大佐の部下か」

「そうだ」

「呼べる訳ないじゃん……電子レンジなんかでさぁ」

「……?」

絶叫の主は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。


「これは電子レンジといって、モノを温める機械なの」
そう言ってカオリがレンジのドアの部分を開けると、ラップに包まれているご飯が出てきた。

「余分な数秒がご飯をアツアツにする…余計なことしてくれちゃって」
カオリは手でご飯をポンポンしながら部屋へ戻っていった。



地球には、マ・クベの知らないことがいっぱいである。


『マ・クベと家電。』